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夜と朝のあいだ

東海地方に住む独身男のノート

アキラです。バツ無し独身男のノート。

「車輪の下で」を読んでみた

Books

小学生の時、母親から、読むようにと無理やり押し付けられた本の中に「車輪の下」があった。たしかポプラ社から出てた小学生用に易しく翻訳された「車輪の下」である。当時、どうしてもその本を読む気になれず、そのまま年月は過ぎてたんだが、今回、新訳という事で「車輪の下」に初挑戦してみた。
読んでみる気になったのは、あるラジオ番組で、新訳で出された本書のことを褒めていたからだ。非常に読みやすい訳って聞いて、読んでみようと思ったわけだ。もっとも本書を購入してから半年近く積読状態だったんだが・・・。

ヘッセの自伝的小説とも言われる本書。おおまかな流れは、ドイツのある田舎町。町で一番の優等生ハンスは、神学校に入学するため友だちとの交流や遊びも犠牲にして勉強に打ち込む。ハンスは、まわりの同級生や労働者を見下していた。自分は彼らとは違うんだ、と・・・。
やがて2番の成績で合格したハンスは、神学校で型破りな少年ハイルナーと出会う。彼との友情を育みながら、ハンスは勉強以外にも楽しみを見つけるのだが、ハイルナーが退校処分になった後から、精神を病みはじめ、とうとう授業中に倒れてしまう。
故郷に戻ってたハンスは、エンマに恋愛感情を抱くが、その感情をコントロールする術もわからず、悶々とするうちにエンマは町から姿をけしてしまう。
職人の見習いとして働き始めたハンスは、それまで自分が見下していた人たちの生活の中にも、確かな喜びが存在することを知る・・・。

この本のテーマは、教育制度や子供を理解しようとしない大人への批判なのかなぁ。ただ、それだけでもないような気もする。読む人によって、それぞれの受け止め方が分かれるような作品だと思う。

神学校でのハイルナーとの口づけのシーンは、BL要素が満点だな。不安定な思春期の心の揺れをうまく表現してるんじゃないか?エンマとのシーンもなかなかエロティックである。自分の感情と欲望を上手くコントロール出来ない思春期特有のもどかしさ・・・。
また、全編を通して自然の描写が多い(くどいほどだ)だが、ドイツの風景が目の前に広がるようだった。

神学校の校長の言葉で、
「手を抜いちゃいかんよ、さもないと車輪の下敷きになってしまうからね」
と述べられている部分があるのだが、運命という車輪の下敷きになったハンスの人生を読んで、自分のこれまでの人生も想い返していた。

最後の場面、フライク親方の台詞が印象的だ。
「あそこに行く紳士方も」と彼は小声で言った。「ハンスが破滅するのに手を貸したんですよ」
「あなたとわたし、我々も、あの子にいろいろとしてやれたことを怠ったのではありませんかな?」

この話を小学生に読ませるのは無理だろ!いくら易しく書き直してるとはいえ、この本の持つ批判精神までは理解できないだろうな。と、自分の母親に呆れた・・・。

背表紙~

周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。

訳者のあとがきで触れられているのだが、この「車輪の下」、本国のドイツよりも日本の方が、毎年10倍売れているそうだ。わかる気がする・・・。

 

車輪の下で [ ヘルマン・ヘッセ ]

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