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夜と朝のあいだ

東海地方に住む独身男のノート

アキラです。バツ無し独身男のノート。

「あぽやん」を読んでみた

Books

本書のタイトル、あぽやん。
何のこっちゃ?と思って読み勧めると一章の中で説明があった。
あぽとは空港のことだ。航空業界、旅行業界では、かつてテレックスを使っていた名残で、アルファベット三文字で事物を表すことが多い。旅客はPAX、航空券はTKT、ホテルはHTL、そして空港はAPO。それをそのままローマ字読みにしたアポは、普段の会話の中でもよく使われる業界用語だ。
本書は、空港勤務のエキスパート「あぽやん」を目指す青年の物語である。

いわゆる「お仕事」小説である。
「お仕事」小説......心ならずも「その仕事」に就くことになった主人公が、様々なトラブルに立ち向かいながら、その仕事の面白さ・やりがいを見つけ、成長していく(たまに恋愛も絡む)ってのが、一つの王道パターンだけど、本書は、その王道パターンのど真ん中を描いてる。

30歳目前の遠藤君、大手旅行会社で企画などの仕事をやっていたのに、空港勤務を命じられる。渋々、空港勤務に赴くわけだけど、そこでは個性的な先輩や気になる女性が...。トラブルもたびたび起こり...。これ、「お仕事」小説の典型例だな。

空港という、ある種「非日常」の世界を描いてるとこが目新しい。空港での仕事って、なかなか想像しづらいけど、軽妙なタッチで分かりやすく書いてる。
主人公の遠藤君、カッコイイと思ったな。不本意な空港勤務とはいえ、目の前の仕事に一生懸命、向き合ってる。ふて腐れたり、逃げたりしない姿勢は読んでいて好感だ。

欲を言えば、もう少し空港の仕事を掘り下げて書いて欲しかった。スラスラ読める文章だし、読んでいて気持ち良いけど、後に残らないというか...。主人公の心情ももっと書き込んで良いと思うけどなぁ。好青年ってのは伝わってくるけど、仕事や恋に悩んでる心情が、チョット書き足りないような...。

☆3個

背表紙~

遠藤慶太は29歳。大航ツーリスト本社から成田空港所に「飛ばされて」きた。返り咲きを誓う遠藤だったが―パスポートの不所持、予約消滅といった旅客のトラブル解決に奮闘するうちに空港勤務のエキスパート「あぽやん」へと成長してゆく、個性豊かな同僚たちと仕事への情熱を爽やかに描いた空港物語。

作者の新野 剛志、たしか「八月のマルクス」で江戸川乱歩章を受賞してるんだけど、こんな軽妙な小説も書くの!?って、ちょっと驚いたな。続編も出てるようなので読んでみたい。

 

あぽやん [ 新野剛志 ]

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感想(8件)