読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夜と朝のあいだ

東海地方に住む独身男のノート

アキラです。バツ無し独身男のノート。

「ふがいない僕は空を見た」を読んでみた

Books

これは、下手な感想なんか不要だな。そうとうな傑作。
明るい話じゃないし、気分が晴れ晴れするようなエピソードも無い。
だけど人間の弱さと強さ、醜さと美しさ、不甲斐なさや優しさ、暖かさを描いている。

五編からなる連作短編集。
一人の高校生を中心に、同級生や母親等の視点からそれぞれの物語が語られている。
登場人物達がそれぞれに一生懸命、生きている姿がとても良かった。感動的でさえある。

特に良かったのが「セイタカアワダチソウの空」。
認知症の祖母と二人きりで暮らす高校生の物語だ。山本文緒氏の評にあるけど、「この世に生まれ落ちることの苦悩と喜び、その凄まじい痛みに涙が出た」。うん、すごいわ...。泣けたもんなぁ。
彼の父は幼い頃に亡くなり母はほとんど家に彼って来ない。認知賞で徘徊を繰り返す祖母と暮らす彼...。祖母の面倒をみながら明日の食べる米を心配する彼は、生活のためにアルバイトをこなす。腹が減ってフラフラな時、友だちの母からもらったオニギリをむさぼるように食べる...。そんな彼にアルバイト先の先輩・田岡が手を差し伸べるが、田岡にもややこしい事情が...。
現代日本の一つの課題である貧困。見事に描ききってる。不器用な優しさや、醜さ、暖かさ...いろんなものが詰まった作品だ。

さまざまな境遇で生きる人間たち。みんな生きる事に懸命だけど、そんな人間が見上げる空は繋がっている...そんな事を考えた。

「BOOK」データベース~
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。

読んでいて重松清の匂いのする作品。(文庫の解説が重松清だった)
文句無しの☆5個