読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夜と朝のあいだ

東海地方に住む独身男のノート

アキラです。バツ無し独身男のノート。

「空白の殺意」を読んでみた

Books

良いじゃないか、中町 信
作者がイチ押しの自信作だけあって、うん、たしかに満足できた。

甲子園を目指す学校同士の醜い思惑をバックボーンに、女子生徒の死、女教師の自殺、野球部監督の毒殺と立て続けに事件が起きる。
様々なエピソードを枝葉にして物語は進むが、なかなか容疑者が特定されず、容疑者らしき人物が浮かんでもアリバイの壁が立ちはだかり・・・。

まさに、正統派推理小説というべき作品だな。

推理小説の中には、クローズドサークル物、叙述トリック等々、いろいろ有るけれど、この作品は強いて挙げればアリバイ崩し?
でも、それだけじゃないんだよな。単なるアリバイ崩しだけだと、単調で面白くもない物語になりがちだけど、読者を欺くための?エピソードなんかが良い味を出してる。

容疑者と目されていた人物が、第四の死を遂げるに至って、いよいよ物語は「?」のオンパレード。
これまでの四つの死の犯人は誰なんだ?
動機は?
容疑者は2~3人居るけど、アリバイあるし・・・。

このあたりまで来ると、ページをめくる手が速くなった。名探偵が登場するわけでもなく、ラストで「全員を集めて犯人を名指し」なんて場面もないけど、うん、やっぱりこれは正統派推理小説だよなぁ・・・。

読み終わった後で、プロローグを読み返すと、ジワ~ッと湧き上がる衝撃。プロローグとエピローグを比較するだけでも一読の価値はあるなぁ。
一瞬で世界がひっくり返るようなパンチ力のある衝撃じゃなくて、こちらは、そうだなぁ、ジワジワと効いてくるボディブローのような衝撃だな。
いやぁ、最近、瞬殺の衝撃物ばかり読んでたので、この種類の衝撃は久々だった。

「し、死んでる・・・・・・」

プロローグとエピローグに書かれたこの一行の使い方、上手い!

作中、挿入されてるエピソードについての結末も書かれてると良かったんだけど、そのあたりが書かれてないのが若干の不満点かな。

☆4個

背表紙~

大仰ではなく、小粒ながら、心理的なだましのトリックをメインに据え、読者を最後の一ページまで引っぱって行く「皇帝のかぎ煙草入れ」のような作品を、私はおこがましくも、無性に書いてみたくなったのである。たまに読者から「自作の中で出来が良く、気に入っている作品は?」と問われることがあるが、私はためらわずに本作を筆頭に挙げている。中町 信

密室物やら叙述トリックにはない、まさに王道の推理小説。堪能しました。


空白の殺意 [ 中町信 ]

価格:777円
(2016/6/6 20:53時点)
感想(0件)